2019年9月の絵手紙エッセー『晩夏の浜辺で』
あれほど賑やかだった浜辺も 夏休みが終わると途端に人影も少なく 打ち寄せる波の音だけが聞こえている ザーッ、ザザザーッ、ザーッ 短調な音に時折カモメの鳴き声も 混じりあって、ふと空を見上げる 夏の騒がしさに疲れたのか? 一人の時間が欲しくなって海に来た 誰にも会いたくない 誰とも話したくない 社会の荒波にあらがった所で 何も変らない空虚な心を携えて 海に来た 広い、広い、広い、海は広い 小さな事で悩んでいた自分が ちっぽけな人間に思えて、笑った 若者のような悩みを今更、と 笑ってしまった帰り道 咲き残りの浜ナスの花に見とれて 心はすっかり癒された。トゲトゲの 心に薄いピンク色の花が咲いていた |