2019年6月の絵手紙エッセー『心の中は空っぽ』
六月の空はいつも不安定 梅雨どきだからと思っていたら まるで真夏のような陽射しがあって 日傘なしでは歩けないような 一日もある。実を言うと私は 大抵の人が嫌いな雨の日が好きで そして特に、梅雨時のシトシト雨の 静かな一日が好きで、日がな一日 長編小説を読んでいられる日があれば もう最高の一日である ガラス窓を打ちつける大粒の雨があり 絹糸を垂らしたような雨もある たまに、ぼんやりと雨音に耳を傾け その雨の奏でる音にリズムを感じて フフッ、と笑ってしまったりする 雨音が人の話し声に聞こえてくる 愚痴や弱音、笑い声、色々な声がある 心に過ぎる不安や心配は尽きないもの だけど、その一切を忘れて一日を過ごす いつの間にか心の中は癒され 空っぽの心は幸福感で満たされてくる |