やちよ絵手紙の森美術館

2017年10月の絵手紙エッセー『この青空を』

故郷の空は高い、高くて青い
イワシ雲が空一面に広がり
無数の赤トンボは
刈り取られた田んぼの上を飛び交い
竹ほうきで掴まえた。あの遠い日
のどかな田園風景だった
しかし、その頃の私は
田舎暮らしがちっとも良いと思えず
都会に憧れ故郷を飛び出した
あの遠い、遠い日
緑豊かな山々が高層ビル群に変わり
稲田を吹き渡る爽やかな風は
ビルの谷間を流れる熱風に変わり
輝いていた眼差しは
うつむいた虚ろな目線に変わった
久し振りに見た故郷のイワシ雲
やっぱり故郷の空はいいなあ
故郷の空気も水も美味しい
今、この青い空を切り取って
都会に住む君に届けたい
心も体もきっと元気になれるよ

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