やちよ絵手紙の森美術館

2016年3月の絵手紙エッセー『いつの日も』

花壇の片隅にいくつかの
小さな花の芽を見つけました
まだ霜柱も立つと言うのに
春はちゃんと忘れずに来ていました
梅の花はもう咲き終わる頃で時折
枝先に止まっためじろが花びらを
ついばんでいたりします
ガラス越しの陽射しは温かく
窓辺で本を広げたりすると、時々
鉢植えの桜草の香りを感じながら
コクリ、コクリとうたた寝。さて、
穏やかな昼下がりの今日は、客間に
年に一度のお客様が
二人揃って並んでいます
お内裏様とお雛様
もう何十年来のお客様です
いつの日も、どんな時も笑顔で
今年も会いに来てくれました
母から譲り受けたこの古い雛人形
ずっと私の側を離れず、ほら笑って
と、母が語りかけているようです

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