やちよ絵手紙の森美術館

2015年9月の絵手紙エッセー『繋がる』

季節は徐々に夏の衣を脱ぎはじめた
肌で感じる限りでは、まだまだ
秋の到来ではないが、それでも時折
吹き来る風に秋を少し含んでいる
さて、今年も
庭先の古木のぶどうの木に
五つ程の房がついている
いつも害虫や鳥の餌となってはいるが
狭い庭の季節を感じるには丁度いい
小さな小さな緑色の実が
秋に向かいながら大きく紫色に
変化してゆく。それこそ店先に並ぶ
立派な形の葡萄とは言えないけれど
ひと房、ひと房をよく見ると
どれも親枝に繋がり方を寄せ合っている
少し窮屈だろうが、狭苦しいだろうが
文句も言わず親子兄弟、姉妹が繋がって
自分の領域で輝いているのだ
大切な血縁の繋がり
ひと昔前の、日本人の暮らしのように
家族の繋がり、周り近所の繋がり
今、私達は大切にしているだろうか?
こころ繋がっているだろうか?

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