やちよ絵手紙の森美術館

2014年5月の絵手紙エッセー『空に飛ばそ』

穏やかな五月の空が広がっている
川沿いの遊歩道を歩けば
田んぼを耕すトラクターの音が
のどかな田植えの光景と重なる
早苗田の水面すれすれに
ツバメが飛び交い、そして
遠景には瓦屋根の上にコイノボリが
ゆうゆうと泳いでいる。こういった
里山の集落は日本の原風景だが
最近は人の気配を感じさせない
離農した廃屋が増えているように思う
広い庭に手入れされていない植木や
草ぼうぼうの庭が主人の帰りを待つ
辺り一面、黄色に染まる広い庭を
よく見るとタンポポの群生だった
少し強い風が吹けば、ファーッ、っと
舞い上がるタンポポの種は一体どこに
旅に出るのだろう?
小さな無数の綿毛は種を乗せて遠く、遠く
しあわせの旅に出るのだろうか。
それとも
誰かを探しに旅に出るのだろうか。

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