やちよ絵手紙の森美術館

2013年8月の絵手紙エッセー『さらり、さらり』

夏も本番、強い陽射しが照りつける
畑も花壇も、アスファルトの上も
水をまけばジュッ!っと音のするような
無防備な格好で外には出られない
クーラーの効いた居間の窓辺に
暑い外の風景をよそに水の音
スーイ、スーイ泳ぐ金魚が二匹
水草をやんわり避けながら、いつも
つかず離れず適度な間隔を保って
泳いでいる
『ふう~ん、上手だなあ~?』
人間の暮らしにも真似したくなるような
その泳ぎ方を眺めていると、さらり
さらりと水のように流せば腹も立つまい
こころ穏やかに生きられるのに
どうしても蜜のように甘く濃く
欲深くなるのが世の常なら
そうだ、魚になって海に戻ろう
何があっても、さらり、さらりと
受け流しながら笑って生きよう
自分らしく、そのまま生きてみよう

« 前のページに戻る