2012年9月の絵手紙エッセー『天上の花』
朝夕の風が、わずかだが秋の訪れを 感じさせてくれるようになった 草むらからは涼しげな鈴虫のこえ 八月の容赦ない夏の暑さを通り過ぎ ホッ、と安堵の腰を下ろしたくなる そう言えば、私のふるさとでは 今頃になると田んぼの畦道に 真っ赤な曼珠沙華の花が一斉に開いて いつも秋の始まりを感じさせてくれた 又、その花の一群はどんなに遠くからでも 目に写り延々と続く里山の風景が より美しく映えて見えた。しかし 「その花は家の中に飾ってはいけないよ」 何よりも花の好きな母が、不思議だった? その意味も判らず長い月日が過ぎた頃 曼珠沙華の花は、天上に咲く花だと聞いた その一つ一つの花は 亡くなった人の命が咲いたのだと 少し哀しい逸話話だったけれど、それを信じて 探してみようかと思う。この夏に仲間入りした 父の曼珠沙華の花を・・・・・・・。 |