2012年6月の絵手紙エッセー『鈴蘭の花』
静かに、静かに降る雨は 木々の緑が艶やかに深くなる 又、その足元の草花たちも 葉影からこぼれ落ちる雨粒を受けて 静かに語り合っているように見える 六月の雨がひとしきり降った後 ほのかに薫る清々しい香りの一群は 草かげに隠れた鈴蘭の花だった 誰に見られようとせず、ただ黙って ただ、じっと黙って咲く姿は 『優しさ』の全てを表現しているように 私には見える。 人間が生きていく上では 到底、真似できないような、その姿こそ 究極の生き方のように思われる。 正直で、ひたむきで、どこまでも優しく 清らかで慎ましく、疑いのかけらも無い 私たち人間の生き方の手本を 見せてくれているのではないだろうか もしも私がもう一度、生まれ変われたら 鈴蘭の花に生まれてこようと思う。 |