やちよ絵手紙の森美術館

2012年2月の絵手紙エッセー『春は静かに』

暦には立春とある
しかし、風は頬を刺すように
冷たく、マフラーだけは欠かせない
それでも庭先の梅の古木には
白い小さな蕾もだいぶ膨らんで
ぽつり、ぽつりと咲き始めている
足元に目をやれば毎朝、ガラスを
突き刺したような霜柱が
すっくと立ち上がり春を寄せ付けない
空はまだ澄み渡った真冬の色で
あの日から、一年目が近い事を知る
これ以上
何ごとも起きないように祈った一年
一日も早い復興を願った一年
福島への思いを強くした一年だった
「潮水をかぶった水仙の花が
花を咲かせていましたよ。」と
テレビの画面に目をやった
辛い哀しみを知っているだろうに
今年の春は静かに、そっと
やって来るのだろうか、、、、。

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