『風に委ねて』(2023年5月の絵手紙エッセー)
暑くもなく寒くもなく 爽やかな新緑の風がふわぁり、ふわり 藤の枝先を揺らしている まさに、風さえも薄紫色に思えて 目を閉じて風を感じてみる 木の芽どきの、何とはない気が 心全体を占めていて どうにも空の明るさが眩し過ぎる かと言って、誰のせいでもなく 季節特有の持病かも知れない あの青く澄み渡った空には既に ヒバリのさえずりが聞こえ そこいらじゅうの木々は新芽の 柔らかな緑色を楽しませている なのに、何が不安なのか? 何を迷うことがあるのか? ちっとも判らないのだけれど ただ、ただ、通り過ぎる季節を 待つしかないのだ ふわぁり、ふわり、時には心を 風に委ねてみたらどうかしら |