『木枯らしの夜に』(2022年12月の絵手紙エッセー)
首筋に師走の風が冷たい夜 カサコソ、カサコソ 枯れ葉が風に押され転がって行く カサコソ、 カサコソ 遠くから拍子木の音が近付いて 冬の夜空に声が響く 『火の用心、カチカチ 火の用心、カチカチ』 あれは確かに父さんの声だ 今夜の夜回りは父さんだった 遠い記憶の中に拍子木の音が 今でも鮮明に聞こえてくる いつだったか父さんと一緒に 夜回りに行った事がある 師走の夜空に聞こえる拍子木の音は 静かに寝静まった町に 遠く千里までも聞こえると 父は言う みんなの知恵と力でこの町を守る この町が好きだからこの町を守る 先人たちの教えは日本人の心だと 父は言っていた |