2017年5月の絵手紙エッセー『ゆっくり』
新緑を吹き渡る風が心地好い季節 四季の中で私はこの頃が一番好きだ 柔らかい樹々の新芽は空に向かって グングン伸び何かを掴もうとする姿に 似ているような気もする 恐れを知らない若者が、ある時 思いもかけず心傷つき悩み 悔し涙を拭きながら、また立ち上がる そんな眩い姿を想像してしまう そうだよ、それでいいんだ。若い時は 前へ、前へと挑戦しながら進む それが若さの秘訣、特権なんだから 遠い昔、私がそうであったように この世は自分の思うようになると 傲慢な夢を胸に秘めていた。しかし ここへ来てやっと判った。人の世とは 人の為に生きるようになっていた 今までの道程で得た苦労の証しを これからは感謝と幸せに代えて そろそろ、ゆっくり歩いて行こうと思う まだ少し、道のりは残っていそうだから |