やちよ絵手紙の森美術館

2012年8月の絵手紙エッセー『すぅい、すい、故郷』

ぎらぎら輝く太陽が
ま上から直線で降りてくる
都会暮らしの疲れから涼を求めて
一路、故郷へと向かう八月
駅を出て、一日三本のバスに飛び乗り
幼い頃のあの『ふるさと』へ戻る
山あいの細い道を揺られながら
いつもの停留所で降りる
雨避けの小さな小屋はまだあって
懐かしさの余りカメラを向けたが
どこも自動販売機が邪魔をして
シャッターを押す気にならない
故郷だけは、昔のままでいてほしい
販売機などなくても、
駄菓子屋のおばさんに頼めばいい
『おばさん、冷えたラムネ下さい』
いつもの笑顔で奥の方から出て来るだろう
古い木橋を渡り清らかな風に吹かれ
小川を覗くと、すぅい、すい水の上
水すましが波紋を作って話していた
昔のままがいいね。ウン、昔のままが、、、

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